film

次元爆弾:森本晃司

20分間の濃密デート。それまでのフィルムとはまるっきり違う劇場空間占有だった。とろんとしたゼリーの中に腰からゆっくり沈んでくみたいな感覚、視界には冬の澄んだ空気の清々しさが広がっていて、光と音と記憶が冷たいプリズムの中で乱反射する。観ている…

スカイクロラ:押井守

やっぱりいつもの押井さんだった! けど情愛表現に関してはとっても不満だよ。 凛子さんの声は身体にあってないけど、そこが人形っぽくていい。 木偶っぽい。エンドロール後のシーンはちょっと蛇足なんじゃないかと思われた。蛇の道は蛇だけど。

デトロイト・メタル・シティ:李闘士男

一瞬、松山くんの前髪が乱れるときがあって、そのときだけどっきーんってした。 あとは漫画以上ではなかったのであった。ただ街中で聞いた女子の会話が面白かった。「デトロイトメタルシティって面白いらしいよ。観に行こうよ」 「えー、松山くんのヤツ?」 …

ダークナイト:クリストファー・ノーラン

良いハリウッド! だった! (良いハリウッドは映画館から出てくるときに自分が超人になったような気持ちになります。ゴミ箱を蹴り飛ばしたくなります) いちばん好きなところは「俺の真似をするな」ってところ! あと女の子の気持ちを読み間違っちゃうとこ…

セックス・アンド・ザ・シティ:マイケル・パトリック・キング

キャリーは相変わらずひどい感じでしたがでもほんと気持ちはわかるよ。とりあえずウェディングドレスいっぱいきたい気分になりました。「SATCをください」ってパンフ売り場で聞いて、そうか、タイトル恥ずかしくて言えないひとはふつうにけっこういるのね。…

崖の上のポニョ:宮崎駿

こころの底から楽しみにしていたポニョ! ポニョ! ポニョ! 徹頭徹尾幸せにみちみちたフィルムでありました。 ひどいなあ、ずっとずっと泣いちゃうに決まっているじゃないか。神は細部に宿るというけれど、もうほんとすごい精度だと思う。 「千と千尋」の大…

マイ・ブルーベリー・ナイツ:ウォン・カーウァイ

初日に観ました。 香港から湿気をとったら蜃気楼が消えちゃった、みたいな喪失はあるのだけれど、だからこそカーウァイのドリーミンさが浮き彫りになってもいて、それはまさにすいーつ。この星にはいろいろなひとがいてみんな好き勝手に生きているよねってい…

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎 : ジェシカ・ユー

数少ない顔見知りのひとびとの証言からなる ダーガー(ダージャァ)人物像録と ヴィヴィアンガールズの物語の混濁。せつない、と感じながらも、他者の視線によって象られるひとのかたちについてしばらく考えた。さてしかしさて、ダーガー柄のシフォンスカー…

さくらん : 蜷川実花

もしかしたら自分のお部屋で自分の鼻先にあるモニターで観たなら、女友だちの愚痴混じりのおしゃべりを聴いてるみたいで楽しいかもしれない。それはちょっと空気の読めないお話の下手な友だちなわけだけれど、目に余る男子の行動については「それってひどい…

時をかける少女:細田守

誰もが誰かを想ってる、なんてときめきメモリアル! もうすぐ夏休みっていうそんなのどかな高揚感の中に起きた物語。仲さんの声がとても良いのね。 あと妹がー。 大切な想いとタイミング、すべてがリニアに奇跡的に連なってできてる情景をバッドエンド重ねて…

スクール・オブ・ロック : リチャード・リンクレイター

やばい、ほんとに特筆すべきことがわたしにはなかった! うがぐぐ! http://www.schoolofrock-movie.jp/

花とアリス : 岩井俊二

岩井さんの映画の中で──いままでに好きなものがあったかといえば、ないような気もするんだけど、それはさておき──いちばん好きです。リリィ・シュシュを遺作にしたいだなんて云っちゃうような霧も(たぶん)晴れて、ロマンちっく男子が夢みる乙女ちっくが健…

ラヴリー・リタ : ジェシカ・ハウスナー

あたしにはなんにも起こらない!っていうどん詰まり感は鬼気迫るものがあります。というか、それでも彼女には鬼気も危機もなんにも迫ってこないのがいちばんの問題なのか。なんとなく、中学校のときの体育の授業で、バスケットボールをしていて突き指をしな…

ロスト・イン・トランスレーション : ソフィア・コッポラ

わかりあおうとしてる? してない? だってどっちみちわかりあえない、でもできればわかりあいたい!の堂々巡り。伝えようとするといっつもバカを見るよねって疲労、それを浮き彫りにする異国という舞台。言葉が通じても通じなくても孤独、ロスト・イン・ト…

キャシャーン : 紀里谷和明

まっすぐな想いはこの上なく素晴らしくてだけどそれをそのまま渡すだけじゃやっぱりダメで伝えるということはどうしても伝わらないという真理に血反吐を吐きながら抗うことなのだからもっと太く強く逞しくすべてを凌駕する勢いを求めていたよ。世界への愛の…

マインド・ゲーム : 湯浅政明 / ロビン西(原作)

ぼくだいすき! きみだいすき! みんなだいすき! せかいだいすき! そんなことおもえるこのじんせいだいっすき!!! みたいな、ちょうオーライ“でもやるんだよ!”スピリットに息をするのを忘れるくらいよ。マンガもだいすきだったけど、ミョンちゃんは映画の…

スチームボーイ :大友克洋

まだ完全版ではないとのことなのですが、絵が地味に素晴らしくてすごい。どう考えても求められているものとは違うものだろうとは思うけれど、監督の名になにも求めていないふつうのこどもたちが観たら良いのだと思う、世界名作劇場 × ディズニーランドアトラ…

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還: ピーター・ジャクソン / J・R・R・トールキン(原作)

だいたいが「旅は終わる」というコピーからしてもう素晴らしすぎました、それはまちなかで反芻するだけで泣きそうになる言葉。もともといろいろな立場のひとがいろいろな想いをもってたまたま一瞬あつまった的な群像劇(みんな!)が大好きなところへ、それ…

ジョゼと虎と魚たち : 犬童一心 / 田辺聖子(原作)

「よくある話」という烙印がじぶんに返ってくるとき、男の子は気づきもしないで物語に飲み込まれるかもしれないし、女の子はあらかじめ知ってたみたいな顔で笑うかもしれない。でもそれは、あらゆる恋はすべてふつうの恋なのです、という救いのような気もし…

イノセンス : 押井守

なんでこんなにわかりやすすぎるのかがわからないのでなにかわかってない部分があるんじゃないかと思ってもう一度観にいったのだけれどもでもやっぱりわたしにはみつけられそうになくああそうかほんとうにこうしたくてしたのですね、とようやくだんだんおな…

不思議の世界絵図 : マルティン・シュリーク

マルティン・シュリークの不思義の扉より。とにかくそこはかとなくエロいのです。そして、果ては果てでしかないのね。

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔: ピーター・ジャクソン

何度も、心で、繰り返す。世界は、戦うに、値する。 ってこれにつきるのだけれども、あとは、ええと、ドビー@ハリーポッターをかわいいっていうあの娘の気持ちはよくわからないのですが、しかし彼やゴラムのおもしろさにはいつもワクワク心踊らされます。だ…

ガーデン : マルティン・シュリーク

マルティン・シュリークの不思義の扉より。観る前にはヤン・シュヴァンクマイエル的なものを感じて惹かれていて(もしくはヴァージン・スーサイズのひとりめの少女の自殺風景にそっくり!だとかも頭をよぎりましたがそれはまた別の話)チェコだしスロバキア…

ユーリ・ノルシュテイン作品集 : ユーリ・ノルシュテイン

ラピュタアニメーションフェスティバル2003。スクリーン的なもので観たのはどれもはじめてだったのだけれど、真夜中部屋でこっそり観るのとあんまり印象はかわらないのね。それから小さな頃に観た印象とも変わらない、むしろ変わらないのを確かめる、みたい…

ルールズ・オブ・アトラクション : ロジャー・エイヴァリー

原作はB・E・エリスのレス・ザン・ゼロ、アメリカン・サイコとならぶ青春3部作(ということになってたのね!)から。ラブ・マスターX もそうだけれど、恋を軸にした人間関係の裏返りっぷりにはぎゅうってなります。でも現代のおはなしとしてうけとるにはナ…

式日 : 庵野秀明

すきなひと。したいこと。こうあってほしいと思うこと。こうあればよかったと思うこと。願い。諦め。後悔。戒め。逃避? 自分のそとで起こることはどうしてもコントロールできなくて、しかたがないからぐちゃぐちゃをあしもとにしまい込んで、叶うかもしれな…

リアリティ・バイツ : ベン・スティラー

当時っきりだったのですがなんとなく。ほとんど忘れていてでも途中でそういえばマイシャロナのとこだけとりだすしかなかったことを思い出して観るの誘って失敗したと思いました(でも、嫌い、とは云えません)。あと、どうしてもウィノナは苦手、ということ…

ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間 : ピーター・ジャクソン

何度も歩いた谷や森、手に入れ続けたミスリル、出逢い話した妖精たち。目の裏側の世界が目の前で鮮やかに。夢じゃなかったのね、ずっとずっと前からそうなっていたのね。(20020413)

リリィ・シュシュのすべて : 岩井俊二

幼稚で滑稽でけれどもそうするしかなかった役割としての青春。彼の流され加減と、世界を知らないがだけの片手落ちの喪失感、知らないが故の意識の明白さが、何もなさ過ぎて光だけが大量に溢れる露出過多気味の世界へ放射されるの。痛い? いいえ、そンなこと…

息子の部屋 : ナンニ・モレッティ

なにかが起こる前も後も、そもそも道はバラバラということ。ついたり離れたり、それでも生きるということ。たくさんの自我のそれぞれがどうしても生きるしかできなくて、けれどもそれを美しいと思う心が、人にはある。という光。(20020121)