ジョゼと虎と魚たち : 犬童一心 / 田辺聖子(原作)

「よくある話」という烙印がじぶんに返ってくるとき、男の子は気づきもしないで物語に飲み込まれるかもしれないし、女の子はあらかじめ知ってたみたいな顔で笑うかもしれない。でもそれは、あらゆる恋はすべてふつうの恋なのです、という救いのような気もします。だれだって意味も根拠もなくバカみたいに自分勝手になんだか知らないけど吐き気がするほど誰かを恋しいと思うときがあって、いいもわるいもほんとうもうそもそこにはないものね。
まー、妻夫木くんで池脇さんでぱんつ以上で犬の監督で(not押井さん)聖子ちゃん原作だわーいって観て、えーん、妻夫木くんキスがいちいち濃すぎやしませんかとか「余裕ない」とかふつうに照れちゃいますよー困りますよー、なんていうのが第一声だったりするあたりがもうなんともアレなわたしです 。ジョゼはニュートラルな女の子でちょっと存在感が希薄な感じなんだけどだけど終盤の“それでも生活は続く!”的シーンからずっしり重みが増して、ほんとうに眩しかった。泡にならなかった人魚姫みたいね。でも、だからといって、女の子は逞しいね、とか気安くゆーなよ男子!とも思います。
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