リリィ・シュシュのすべて : 岩井俊二

幼稚で滑稽でけれどもそうするしかなかった役割としての青春。彼の流され加減と、世界を知らないがだけの片手落ちの喪失感、知らないが故の意識の明白さが、何もなさ過ぎて光だけが大量に溢れる露出過多気味の世界へ放射されるの。痛い? いいえ、そンなこと云ってはいけないわ、だって彼はあまりにも未だなンにもしていないのですもの逃げることすら。ケラケラ笑いながら眺める薔薇色のときと、灰色のときの眩暈がするような青空とその下の輪郭のくっきりした景色の中にずっといたくなる。ベストカットは電車の窓の青の広角。(20011010)