花とアリス : 岩井俊二

岩井さんの映画の中で──いままでに好きなものがあったかといえば、ないような気もするんだけど、それはさておき──いちばん好きです。リリィ・シュシュを遺作にしたいだなんて云っちゃうような霧も(たぶん)晴れて、ロマンちっく男子が夢みる乙女ちっくが健やかに炸裂! なんでもありな花ちゃんのたくましくてかよわい恋心と、静かでつよくて正しいアリスの女心と、自立してない学生だからこそ切っても切れないそれぞれの家族との関係だとかが、淡々と可笑しくたのしく美しく描かれております。どっぷりつかりすぎてるせいか、ほかのなにかに対して「少女マンガみたい」だとか思ったことはあんまりないのですが、さすがにあの桜のシーンには参りましたよ、なんじゃありゃ! あんなの少女マンガじゃないか! ずるいよ! ひどいよ! 
序盤の冗長さには少し不安を感じながら観ていたのだけれど、それ以降は素晴らしい流れだったかと。クライマックスを迎えても良いタイミングは途中で何度かあったけれどそれでも続く物語、ゆっくりと緩やかに軽やかに日常に戻っていく感じのラストにときめきました。当たり前だけど、女の子ふたり、どちらも死ななくてもいいんだよね。
http://www.hana-alice.com/