サマータイム : 佐藤多佳子

佐藤多佳子さんも新潮さんが文庫化してくれていたのですね。
夏の終わりの絶望、春のいじわるとやさしさ、秋雨の憂鬱、こころに雪がうつって真っ白になる冬! なんだか知らないうちにこころに留めたままでいて、思ってもみないようなときにチクリと痛んだり、じんわり熱を発したりするなにかのカケラ。思い出が、いまに繋がってゆくときに吹く風は、なんてなんて清々しいんでしょう!
ひとはみんなそれぞれいろいろなときにいろいろなことを想って考えて、生きてる。そんな当たり前で大切なことを、視点も時間もばらばらに描かれた物語たちによって知らされる、そおいう成長、そおいう幸福です。