山ん中の獅見朋成雄 : 舞城王太郎

なんにしたって、木のおうちにどうぶつたちと一緒にすみたい、みたいな夢をすてられない、むしろ育てているような子にとっては、森の中に入っていくときのうねりが忘れられないンですよ。痺れた! ちょっと、ねじまきどりくらい長く読みたくなっちゃう気もしちゃうくらいね(気のせい)。これを千と千尋の神隠しというのはあまりにあんまりそのとおりなのですが、千と千尋といえば、わたしの愛するガールフレンドの“映画館からの帰り道でボーイフレンドに「(千尋とハクは)もう会えないのにね」と云われた”という話がショックでショックでもうずうっと憤っておりまして、その点において、まったく成雄くんは素晴らしいと思いました。見間違う余地もなく、愛を抱えて道を未知を切り開いてく!
美しい(くだらない)後悔ばかりしながら生きていくのが男の子の人生なのだと決めつけてずっとずっと呆れてきたけれど、「後悔だけは俺、したことないんやわ」だなんて台詞がこの世に存在するのなら、なんだ、もしかして、ぜんぜん大丈夫なのかもしれないね?